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FLYING航海記2

船頭 水野範彦

6月3日 晴 モウ1泊して遊びたかったが,鈴木さんが博多へ5日に見えるとのことで,天気が変わると,行けなくなる恐れがあるので出港。今日はガスがひどい。航路標識に0,5M迄近づかないと見えないので,GPSだよりに推測で走るが,エンジンの音が聞こえて,暫くして本船が姿をあらわす。博多湾の入口の玄界島も見えないが,推測で港内へ入っていくと,突然反航する本船の汽笛が聞こえ,慌ててかわす。ガスのためか,音もあまり聞こえない。福岡市立ヨットハーバーに着いてほっとする。14年前に来たときとあまり変わっていない。当時は素晴らしいと思ったが?空きバースもある。やはりヨット人口も減りつつあるか?遅く着いたので明日から利用料を払ってくださいとのこと。近くに素晴らしいスーパーができていた。
6月4日 晴 今日は勝浦以来の休日だ。しかしヨットというものは,なぜこうも細かいところを,手入れしなければならないか?やりかけると次から次へと,やりたいことできてくる。水道の使用料を払ってヨットを洗ったら,海藻が出てくる。驚いて事務所に聞くと,『ホースを管理してないので,判らない。但し上水道だからそのうち綺麗になるでしょう』自前のホースを取り出して水タンクに補給する。『燃料は隣のマノリアヨットハーバーで補給してください。』には驚く。聞けば隣のマノリアヨットハーバーが出来てから利用料も上がったとのこと。共存共栄か?平日であるにもかかわらず,朝早くから1日中、ディンギーが入れ替わり立ち代り練習に出て行く。感心する。
6月5日 晴 鈴木さん(ソラール)が,予定通り到着。早速打ち合わせをして,出港。NEのいい風を運んできてくださった。玄海島をクリヤーして壱岐に向かう。途中19m近く迄風が募り2ポンリーフのメイン1枚にするが9kt近くまで出る。良すぎるが文句は言はない。人間オートパイロットのように,舵を握って離さないのに驚く。芦辺浦到着後タクシーにて,勝本温泉へ行く。今日は平日とのことで立派な旅館の前に横付け。600円で金気,塩気の見晴らしの良い温泉に入る。露天風呂からは勝本湾が1望だ。湯上りの身体のホカホカが中々冷めない。これもタクシーの運転手のお勧めの寿司屋に行く。お造りが素晴らしい。ウニ他絶品ばかり。十二分に満足して帰る。ひよっとして,お金を使うことも運んできてくださったかな?
6月6日 晴 今日で4日も濃霧注意報が出ているが,昨日の続きのようなNEの風に6時出港。途中一時風が落ちたので,今航海初めてクルージングスピンを風干しする。一時半平戸港へ入ると,漁師が手招きをしてくれた公園前に舫う。一寸した親切が嬉しい。早速鈴木さんは観光,私は何回か来ているので,パスして昼寝,宿題(広報委員長から出された,この航海記)をする。考えてみれば,何回か航海にでたけれど,事務的な航海日誌しかつけてなかったので,今回の航海記(後悔記)は今後の『flying』の良い反省記になるかも?ここ暫くは後悔はしてない。夜驚いた。繋留してある海面に昼プイと思ったのから,海中に照明が,それに面する公園にイルミネーションが光り輝いている。海中への照明の周りには小魚が一杯泳いでるのが見える。しかしこれだけ設備をしてあるにもかかわらず,見物の人は見えない。公園には3,000万円かけたという立派な公衆便所もあるが,地元の人が『これだけ設備をしたにもかかわらず,観光客が激減した』と嘆いて見えた。

 

天草公園前駐ヨット場   ソラールオーナー鈴木さんと

6月7日 晴 今日も濃霧注意報。しかし慣れっこになって出港,平戸大橋をくぐる。逆潮3kt,少しバウを振るも難なく通過。9時半頃,突然視界が狭まりスピードを落として,福江へ行く予定を変更して,立串へ向かうようにコースを計算中に,鈴木さんの『アット』の声で前を見ると,海中から屹立する岩礁,危ぶくよける。あと50mもなかったろうか?コースを計算して新進路に乗せて暫くすると又同じ岩礁。肝をつぶしてよける。あとでGPSで拡大してみたら吃驚して大きく舵を切りすぎ,ご丁寧にモウ1度岩礁を見に行ったみたい。視界は100mもないので,超スローベース,鈴木さんがバウへ行ってワッチする。12時頃やっと視界が0,5M位に回復して昼飯を作る。立串港の位置も間違え,探して入港。漁協に断ってから,タクシー(980円)を頼んで,国民宿舎魚の目温泉へ行く。早速温泉につかりお昼寝。ホテルからは,朝日も夕日も見えるので,海を見ると霧は消えてない。出港以来始めて畳の上で寝れます。料理もまあまあで1泊6,825円とは有難いことです。鈴木さんは風を呼んでくださるは,岩礁を避けて下さるは,『福の神』です。(今日の後悔 平戸海峡の出口は6Mの幅があるし,まさかこれだけ視界が悪くなると思わなかったので,岩礁の位置をGPSに記憶させなかった。 後悔その2, チャ-トにも港湾案内にもない港を,記憶に頼りすぎた。後悔その3 1枚35,000円の海岸線カードをケチらねば良かった。)
6月8日 晴 今日も濃霧注意報,しかし昨日と違い視界が1M以上あるのは有難い。慎重にコースをチェツクする。今日はクルージングスピンを上げて,福江港の入口の螺蠑島をかわすまで,5ktで快走。今回は日本離島協会発行の『シマダス』という本を持ってきているので,瀬戸内海からずっと,あの島は住民が何人で,産業は,名物は,あるいは無人島なのか!など退屈しない。この本は無人島も含め日本の850の島を網羅してあるので,余程小さい島以外は載っている。地図には港も載っている。実に有益だ。福江港は広くなり,船が少ないので1番奥の保安庁前に横付け,専用岸壁のよう。鈴木さんは自転車にて観光にお出かけ。ビジネスホテルに宿を取られたので,お邪魔して入浴。
6月9日 晴 今日も濃霧注意報,長崎まで50Mあるので5時出港。9時頃より良い風をもらって帆走,2時頃風がなくなり機走。鈴木さんが見えてからは,帆走協会に所属してるほうが多いし,順風にも恵まれている。この辺は漁船が少ない。ケンケンを流すというので賭け,ケンケンを流している漁船を見たことがないし,いまだにこの辺より日本海にかけて釣れたことがないので,釣れない方に賭ける。長崎港外の伊王島までヒットせず。伊王島のリゾート施設もあまり利用されてないようだ。長崎港口より出島まで5M近くある。出島前の長崎出島ハーバー着。すぐ近くに連絡船発着所があるので引き波が入ってくるが,発着しない時は静かだ。水道,陸電完備で,外来者はゲートでシャットアウト,24時間2,100円,ゲートのカードが1枚500円,観光にはもってこいのハーバーだ。台風にもOKだそうだ。鈴木さんは観光,,ここは坂が多いのでテクシー。8時頃収穫がなかったとお帰り。,私はすぐ前の出島ワーフでヨットを眺めながら食事,ラクビー観戦の客が騒いで煩かったそうだが,知らずに快眠。
6月9日 曇り後雨,しかも南西の風8mの予報,真上りになる。 台風が宮古島から沖縄に向かっている。ちょうど良いと,鈴木さんは雨が降らないうちに朝から観光。こちらは宿題と掃除,舟艇洗い,買出し,休養の予定。ピチピチギャルのハーバーマスターが台風情報を下さる。風が強くなったので用心の為に台風対策をする。4年前来たときは台風が来て,この近くのサンセットマリーナへ避難し,民宿で過ごしたっけ。小浜の情報を長崎外洋帆走協会会長の佐々木さんが,詳細な地図とともにFaxしてくださる。済州島レース以来お世話になりっぱなしだ。夜は卓袱を食べに行ったが,結局は元祖茶碗蒸と,蒸し寿司を食べる。茶碗蒸が小ぶりの丼ででてきて吃驚
6月10日 雨風強し 結局ここで天気待ちをする。どうせ出て行ってもウネリ,波が強いだろうし,向かい風も10m以上だろう。ダレソは島原、雲仙観光へ朝からお出かけ,雲仙温泉で静養されてから,小浜で会うことにする。午後台風養生をしまい,メインハリがマストに入るところの修理をする