一年前の思い出「地中海 ⇒カナリア諸島クルージング」宇都野重治(IBERIAⅡ)

昨年ヨットで世界二周航海経験を持つベテランスキッパーNさんと共に、クルーとして地中海から大西洋にあるカナリア諸島までのセーリングクルーズを楽しんだ思い出 を紹介します。

船したヨットは ジャヌー サンオデセ45 (舵2019年4月号表紙写真)で大人6人ロングクルージングが余裕で楽しめる大きさ。

6/1 スペイン アルメリマル港に乗船者が現地集合し 午前8時出港。

雲一つ無い青空、紺碧の海を西へ46マイル先のマリーナ・デル・エステに向かって機帆走した。

6/3 マラガ港に入港 、スペインでも有名な観光地であり天才画家パブロフ・ピカソなど有名な画家の出生地もあり、歴史的な建物など見どころも多く4日間停泊して市内観光と食事を満喫し楽しんだ。

6/7 午後1時 高級リゾートマリーナ バヌスに入港。

6/10 漁船も停泊しているローカルなエステポナ港に寄港し、約10マイル南西のプエルト・ソトグランデに向かった。風は10メートル真向いの西風12時に到着 このマリーナも大きなポンツーンがあり、50メートルクラスの船が入港でき高級ショップ、ホテルが並んでいた。

6/11 午前9時 ソトグランデを出港しスペイン南海岸の半島にあるジブラルタルを目指す。ジブラルタルの400m以上ある石灰岩の岩山「ザロック」に近づくにしたがって、風が強くなり25メートル以上、海流もあり船が前に進まなく、潮をたっぷり浴びた。ジブラルタル港に入るとヨットは安定し、スペイン領のラ・リネア マリーナに入港して、隣接するイギリス海外領土ジブラルタルへ観光に行った。ジブラルタル国際空港の滑走路を徒歩で横断し、ロックケーブルカーでロックに上り、これから向かう北アフリカ大陸を一望した。

6/13 9時30分 ラ・リネアを出港、曇り空で肌寒い、風は念願の東風、7メートル、メインとジプセールをフルに出し、ジブラルタル海峡横断し北アフリカのスペイン飛地領セウタまで、海峡を通過する巨大船を見ながら、イルカも一緒に6~8ノット セーリングの醍醐味をあじわいながら 午後1時にセウタに入港。

セウタはアフリカ大陸北部にあるスペインの飛地領であり、スペイン語、アラビア語が中心で英語が少し通じた。市内観光に出かけ町の外れで可愛い子に会い思わずツウショト、彼女のお父さんが三菱パジェロの大ファンであったため話が弾んだ。セウタの要塞であったロイヤルウォール、サン・フェリベ壕と城壁、カジノなど見学した。

6/14 朝 セウタを出港しモロッコのラバトに向かったが、風が真向いで25メートル以上と強く4時間以上機走したが5マイルも進まず仕方なくセウタに戻った。

6/16 風向きが東風に変わり、10時にセウタを再度出港し27マイル西のタンジェに向かった。先日とは真逆で潮も手伝ってゆったりと6ノット以上のセーリング航海となった。モロッコ国旗とイエロー旗を揚げ、 タンジェ マリーナに入港する。このマリーナは昨年オープンしたと言う新しいマリーナで、観光スポットになっているようで国内外から沢山の人々が集まっていた。アフリカに来たのは今回が2度目であるが、マリーナを出ると町も人も食事も習慣もがらりと変わり 治安も少し悪そうであった。

6/17 タンジェのイミグレーションで出国手続きを終え170マイル先のカサブランカに向け出港、風向き波も良くフルセーリングで、しかも大西洋の夕日とフルムーンを楽しんで翌日の昼にカサブランカに入港したのだが、なんとマリーナを修復中とのことで停泊できず、12マイル戻ったモハメディア港で停泊した。この港にはヨットを停泊する場所がなく、何とかタグボート岸壁に着岸して停泊できた。ここで入港税とやらを請求されたのだが、どうも様子がおかしいので交渉したら値引いてくれた。もちろん領収書などなく交渉ができたのもおかしな話であり、初めての経験をした。また港内のオフィスで働いている現地のオフィサーから日の丸旗を見て、日本から来たのかと尋ねられ、そうだと答えたら、広い港内を自家用車で案内をしてくれ、翌朝にはヨットまで彼の奥さんが作ったモロッコクッキーを持って来てくれた。お礼に缶ビールを出しかかったが、ヤバイと思い10ユーロを紙に包んで無理やり手渡した。とても気のいいモロッコ人であった。

6/19 午前8:30 潮汐が3メート位あったモハメディアのタグボート岸壁を出港し、34マイル北東のモロッコの首都ラバトのマリーナに向かった。

マリーナはラバトの隣にあり港入口から暫く川を上りマリーナに入るため荒天時の出入港は危険な場所であった。このBouregregマリーナは観光地でもあるため設備、レストランなど綺麗であった。マリーナから少し出ると古い街並があり、歩いて15分位で首都ラバトに入ることができた。国内外からの観光客であふれていた。

6/22 モロッコ首都ラバトを離れ大西洋をカナリア諸島に向かった。

世界各地の港で出入国手続きの経験を持つベテランスキパーNさんも、モロッコの港を使う外国船の出入りは各港で出入国の手続きが必要で、とても時間がかかったのには驚きを 隠さなかった。ラバトで日本から来たクルーの入れ替えがあり、6人3交代のワッチ体制でカナリア諸島ランザローテ島に向かった。

6/25 午前7時ランサローテ島アレシーフェ マリーナに入港。

466マイル、88時間、平均5.5ノットで一度も時化に遭わず長閉な航海であった。このマリーナは大きく、多くのヨットが停泊しており、買い出しも便利な場所であった。モロッコで酒が調達できず久々のワイン、ビール、そしてバエリヤなどスペイン料理がとても懐かしかった。

6/26 アレシーフェ マリーナを昼過ぎ離れ10マイル西のプエルト・デル カルメンに入港する。このマリーナはスーパーヨットも停泊し観光客も多かった。

6/27 午前9時プエルト・デル カルメンを出港、35マイル南の二番目の島フエルテベントウラ島のプラヤ・デル カスティージョを目指す、34マイル 風は北から東の追っ手だ、火山島の殺伐とした島を見ながら帆走、午後3時過ぎプラヤ・デル カスティージョに着いた。小さなマリーナだ、訪れる旅のヨットはあまり寄らない所の様だが、マリーナは観光客で活気があった。

6/28 午前9時カスティージョを出港、北風の追って6~7ノット良い走りで35マイル先のモロ・ハブレ港に風の落ちるのを待ち3時半頃入港 公営の小さなマリーナであった。

6/29 午前8時にモロ・ハブレ港を出港し、三つ目の島 グラン・カナリア島ラス・パルマスを目指した。56マイルを6~8ノットの最高のセーリングで17時頃ラス・パルマスに到着。

ここは人口も約38万人、年中温暖で過ごしやすく、国立公園、世界遺産、透明度の高い海と砂浜のビーチなど行くことができた。また現地の日本語を勉強している若者との食事など楽しい思い出でができた。

昔からこの地域は日本の漁船が利用していたこともあってか、町では日系人をよく目にした。私の沖縄の友人の同級生が現地人と結婚し永住しているとか、HYCの元会長Tさんの先輩が、若い頃この近辺の海域で日本船の船長をしていたと聞くと、そんなに遠い国ではなく身近に感じた。

私はここグラン・カナルア島ラス・パロマスで下船して、約1カ月間の長い船旅を共にした仲間と別れ、飛行機でマドリードの市内観光を3日間楽しんで帰国した。

昨年夏の良き思い出でした。

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