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鹿児島への航海のシュミレーション

flying 船頭 水野範彦

鹿児島へ行きたい。然しどのようにして行けば良いか分らない? 寄港地は? 潮流は? 航路とは? との参考に!

日本沿岸航海最短距離計算プログラムによると、碧南から鹿児島まで直行すると、464Mです。
然し海上保安庁水路部の海洋速報(10月4日現在)によると、潮岬から鹿児島の佐多岬(約300M)まで、黒潮の本流(2~5kt)に逆らって航海しなければなりません。巡航速度5~6ktのヨットにとっては時速1~2ktの航海になります。約150時間(約5~6日)もかかります。
では潮岬から黒潮をつききって外を帆走り、佐多岬の近くで又黒潮を横切らなければなりません。これもかなり後ろに流されることを考えると、①案と同じで、遠慮したくなります。
もう1案は陸岸近くを帆走ることですが、下図のごとく556Mになります。

 

碧南⇒宿田曽⇒勝浦⇒田辺⇒室津⇒土佐清水⇒細島⇒油津⇒大泊⇒鹿児島
  60  56  58  74  72    69  60  58  49   計556

平均5ktで走っても110時間、4日と14時間、私みたいな「じじい」には、とっても辛いことです。大体が飲ん兵衛で日が落ちると1杯飲んでお憩みしたい人間です。 体力にも限界があります。
で結局各港で泊りながら、鹿児島へ行くことになります。 天気も体力も良くて10日の航海です。上記の港の説明は、ホームページの泊地案内にのせる予定ですが、アンカーをいれずに横付け可能です。(碧南ヨットクラブの潮老に怒られそう(゚-゚)でもアンカーを入れたり、揚げたりで、かなり時間を取られますし、又港に入ってから係留するまでも時間がかかります。
では具体的に航路を選定しましょう。
101日の第4管区の海洋速報をみてみましょう。 尾鷲を中心に右と左に潮が流れています(いつもは大王埼から潮岬へ流れています)ので、反流を期待して、成るべく陸よりを帆走り、尾鷲からは少し離れて潮に乗りましょう。
伊良湖水道と潮岬は、本船と、漁船のラッシュです。気付けて帆走りましょう。
潮岬から室戸岬へは潮に逆らうので、田辺(或は周参見)を経て行きます。 第5管区の流況図と、和歌山県農林水産総合技術センター水産試験場の人工衛星画像海況速報(毎日更新し、勝浦漁協でコピーが貰えます。ホームページ→中央最上段の新着情報→人工衛星海況速報更新)を参考にして下さい。 下げ潮の場合は潮岬の潮が早いので成るべく潮止まりか、上げ潮が良いようですが、その日によって変わり、地元の漁師も行ってみなければ分らないとのことです。 一度対地6ktで走っていたところGPSでは1ktしか帆走りせんでした。向い風の時は、潮待ちしたほうが良いです。うねりと潮と波の混合でとんでもない荒れようです。近くまで行って引き返したこともあります。
田辺からは四国の牟岐を目指して帆走り潮を見つけましょう。 平均して岸寄りが良いようです。
室津からは久礼に向けて帆走り、岸寄りを足摺岬に向います。 この道中は、シイラずけに注意してください。 丸太や竹の筏です。 周りを回るとシイラが釣れるかも(^^) 足摺岬は陸べったり(漁船をよく見てください)を土佐清水港に向います。 土佐清水では清水の鯖を食べましょう。 関鯖より安くて美味しいと地元の人は自慢しています。
土佐清水からは沖ノ島まで又陸べったりで帆走り、それからは細島向けて直行です。
豊後水道は満潮時は北へ干潮時は南へ流れます。転流時は満干潮時の3時間後です。これを考慮しましょう。

やっと九州へきました。 第10管区海洋速報を見てみましょう。九州は陸べったりが基本ですが、そうでない時もあります。 黒潮が離れている時はよく分りません。
宮崎のヨットハーバーはお勧めできません。 食堂も買い物も近いところで、車で10分かかります。然し係留料は安いです。 宮崎港も同じです。
都井岬は潮の干満が影響します。 引き潮の時は離れましょう。
大隈半島を南下する時は、満ち潮の時は陸べったり、(お勧めです。つれ潮があります)引き潮は離れてが基本です。
佐多岬は潮止まりに通りたいですが、さもない時は十分離れて通りましょう。 でも潮岬ほどではありません。 後の航海は取り立てて注意することはありません。 どこを通っても怒られませんし、大きく代わりません。
鹿児島は温泉天国です。 銭湯はすべて温泉といっても過言ではありません。
山川港は山川駅近くに、山川港を見下ろして厨食堂があり、食事と宿泊と温泉に入れます。安くて量が多いので、注文は注意して!
指宿港は近くのホテルの温泉に、\500円で入れます。ヨット専用のポンツンがありますが、地元の漁船が無断使用していますので上手に割り込みましょう。
鹿児島港は近くの銭湯はみんな温泉で、\300円で、さまざまな泉質を楽しめます。近くの日帰り観光のお勧めは知覧の特攻記念館と武家屋敷です。(観光バスが出ています)錦江湾の一番奥の加治木港には錦江湾ヨットクラブもあり近くには西郷さんの温泉など沢山あります。

遊び終わったら帰りましょう。

帰る前にもう1度海洋速報、海流推測図を見ましょう。 どこの保安庁でも喜んで(?)コピーしてくれます。又家から送って欲しいものは、各保安庁気付けで送ってもらい、取りに行きます。
帰りには屋久島、種子島にも寄りたいですね!
屋久島は一湊(小さい商店しかありません。魚屋はありません。氷は自販機で、吃驚するほど安いです。食事は期待しては駄目です)、種子島は西之表か島間(ロケット発射基地が近い)がお勧めです。
さて帰りは、陸を離れて黒潮のお世話になりましょう。 2~5ktの追い潮は非常に有難いです。GPSを見て「嘘」と言う程よく走ってくれます。 佐多岬から潮岬まで2~5ktの連れ潮があると、5ktのヨットの時速は8~10ktになり300Mは30~40時間です。
真直ぐに潮岬まで走ってもよし、土佐清水、室津へ寄ってもよし、貴艇のお好みです。 ある艇はセールも揚げず、エンジンもかけず種子島から宮崎まで(80M)12時間で走りました。 どんな魔法をかけたんでしょうかね? 碧南ヨットクラブの語り草になりつつあります。
室津からも沖出しして黒潮に助けてもらいましょう。潮岬沖も行きと違ってスイスイです。
後は行きの反対です。里心がついたせいか帰りは早いですね!
潮流も潮も風も日替りですので、いろんな資料を検討して安全に航走ってください。
艇の整備は十二分に お尻から十二分に水を出して
航海の様子はボヘミアンの「一ヶ月間南九州温泉&芋焼酎クルージング」を読んで楽しんで下さい。

おまけ

黒潮の分流が九州西岸を北上しています。ハウステンボス等で遊んで、関門海峡を抜け瀬戸内海を経由して帰るのも面白いですよ。

flyingのクルージング

私は原則として、上り風の時は出港しません。 外洋はすぐ波が大きくなり、ピッチングが激しく、潮水はかぶるは、艇速は出ず(2~5割減)楽しい航海とは言えないからです。(日々是休日だからからかな?雨降りも同じような理由で骨休めします。天気予報で波の高さ3m以上の時も追っ手以外は遠慮します。ローリングが激しくなります。(陰の声 何時帆走るんだ!)
テレビは非常に便利です。 ローカルの天気予報は重宝しますし、天気図は2,3日後の天気、風の予測もある程度出来ます。 アンテナはマストトップに揚げています。 海上でも陸が見えるうちは受信します。電流消費を考えて、目下液晶TVを買おうかと?
発泡スチロールの俵は、径60cm位のをカバーをして積んでいます。岸壁にゴムのフエンダーの大きいのがつけてある時や、荒れて停泊している時に重宝します。カバーがないと俵が鳴いてうるさくてかないません。
水は殆どの港で無料(周参見は1回\1,000円)でしたが、ホースと異型管は持っていったほうが良いと思います。とんでもない太いホースしかないところがあります。
夜走らないせいか、ガスのとき走らないためか、レーダーは欲しいと思ったことはありません。がレーダーを発信している船の方向を知るLO-KATA社のWatchmanは今度の航海には持っていきたいと思っています。
チャートは勿論、港湾案内は必需品です。「こんな便利なものがあるの」という人がいたのには吃驚しました。
携帯電話(NTT)は陸の見えるうちは通話できます。然し大隈半島は人が住んでいない故か、受信できませんでした。碧南から大王埼の天気を聞いて
或は大王埼で潮岬の天気を知ることは非常に大事です。天気は西から変わります。

テレホンサービス
大王埼     05997-2-2000  風向、風速、天気、視程、風浪、うねり
潮岬      07356-2-6177  風向、風速、天気、視程、風浪、うねり
室戸岬     08808-8-1177  風向、風速、気圧 (これを聞いて気圧計を調整しましょう
足摺岬     08808-8-1177  風向、風速、気圧
黒潮牧場12号 088-856-1000  風向、風速、波高、潮流 3307.13´N 13337.53´E
黒潮牧場13号 088-856-1002  風向、風速、波高、潮流 3223.02´N 13252.24´E
黒潮牧場10号 088-856-1001  風向、風速、波高、潮流 室戸岬灯台より真方位 19314M
           黒潮牧場10号は工事中で現在は仕えません。再開日はわかりません。
佐多岬      099-250-0177  風向、風速、天気、視程、風浪、うねり

都井岬      0987-76-2000  風向、風速、天気、視程、風浪、うねり
土佐湾クルージングガイド    

クルージング中は、エンジンはアイドリングの前進に入れています。済州島の帰りにメイストームに遭い、
追っ手でエンジンに水が入り、一晩で噴射弁がペケになったり、航海灯、ロラン、オートパイロットの使用などで、2晩でバッテリーが上がった苦い経験があります。又ジーゼルエンジンは余程のことがない限り、自然に止まることはありませんし、かからない心配をしないほうが、やかましいエンジンの音よりも、精神安定上甚だ宜しいからです。そのうちエンジンの音が、子守唄に聞こえます。(゚-゚)
参考 バッテリー消費量「10時間当り」   オートパイロット   20AH
航海灯        20AH
冷蔵庫        20AH
GPS魚探       16AH
TV           20AH
プロパンの消費量(2~3人、一ヶ月)              3kg      と考えています。
冷蔵庫は標準装備の電気冷蔵庫です。夏のクルージングに欠かせない氷を買う作業から開放されました。バッテリーの電圧が11.5Vを切ると、電源が入りません。それから充電に入ります。必要な品物だけを入れておけば、割に電気は食いません。
照明はすべて蛍光灯を使っています。バッテリー消費量が少ないし、石油ランプは暑くて使う気になれません。
Raytheonのトライデータ-システムの対水スピードと、GPSの対地スピードで潮の速さが分ります。横流れは、コンパス方位と、GPSの方位との差で分ります。本当に便利になりました。がない時はどうなるかを考えて、オートパイロットは2台持っています。鹿児島から帰るときに壊れて、体力の限界を悟ってからです。GPSは予備にハンディを買うか、カーナビを買うか迷っています。港に入った時にはカーナビが良いし、TVの予備にもなるし?単1電池を8個つなぐと屋外用にも使えるし!
炊飯器は、プロパン炊飯器をジンバルにして積んでいます。航海中でも炊上るとプロパンが切れるので、他の仕事が出来ます。レトルト食品は非常用だけです。
コックピットオーニングは夏の必需品です。陽射しが来るほうへ傾けます。雨にも便利です。
ドジャーは折畳式です。入港の時には前方視界確保のため、又は風を取り入れる時、折り畳みます。ハードドジャーは、夏は温室になります。普通の自転車を後ろの櫓に吊って持っています。ライフラインに縛ってもよいですね。買い物や遊びに行く時の必需品です。折り畳み自転車は坂の時にえらいですし、入れるところにも困ります。最近は魚が釣なくなりました。殆どシイラです。たまに美味しい魚が釣ますが、1番良く釣れるのはビニール、海藻、ゴミです。ビニールが釣れたら持ち帰りましょう。

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